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「足関節捻挫は“整復”すべきか」〜整復の必要性を改めて考える〜

  • pcs9130
  • 10月31日
  • 読了時間: 3分

更新日:11月4日


先日、こんな患者さんが来院されました。

 足首を捻り、整形外科で「“足関節捻挫”と診断されました。1週間経って腫れは引いたけれど、なんだか足の奥の方がまだ痛くて違和感があるんです。」

整形外科では痛み止め薬や湿布などの処置を受けていたそうですが、違和感が取れないまま経過していたとのこと。私は触診と動きのチェックを行い、足関節に**わずかなズレ(関節のアライメント不整)**を感じました。

徒手整復(軽い調整)を行うと、その場で

「あっ、足が軽い!痛みがスッと引きました」という反応。

腫れも熱感もないのに、深部の違和感だけが残る——。このようなケース、臨床では決して珍しくありません。


 見逃されがちな「距骨のズレ」

足関節捻挫の多くは「内反捻挫」、つまり足首を内側にひねることで起こります。このとき、距骨(きょこつ)という足首の中心にある骨が、

  • わずかに前方や内側にズレる

  • あるいは回旋する(ねじれる)ことがあります。

この「ごくわずかなサブラクゼーション(微細な転位)」は、レントゲンには映りません。ですが、この1〜2mmのズレが、

  • 靭帯や関節包の緊張バランスを崩し、

  • 関節の中での動きを不自然にし、

  • 神経終末を刺激することで「違和感」や「深部痛」として残る

という結果を生みます。

整復によって距骨の位置関係が正されると、関節包内圧が整い、滑液の流れもスムーズになります。それが「その場で軽くなる」理由なのです。


  なぜ整形外科では整復を行わないのか?

ここでよくある疑問。「どうして整形外科ではこういう整復をしてくれないの?」

実はこれにはいくつかの理由があります。

  1. 教育体系の違い 整形外科では、脱臼や骨折といった「明らかなズレ」に対して整復を行う教育が中心です。 微細な関節ズレ(機能的サブラクセーション)は、診断対象外なのです。

  2. 画像所見優先の文化 「レントゲンでズレがない=整っている」と判断されるため、整復の必要性が考慮されません。

  3. 医療訴訟リスクと制度上の制約 医師が徒手的な整復を行うと、万が一の再損傷リスクを懸念する傾向があります。 そのため「固定と安静」中心の治療が主流です。

  一方で、柔道整復師の世界には、古くから「構造を整えて機能を回復させる」という

  哲学があり、経験を通して「ズレを戻す=回復を早める」という臨床知が受け継がれて きました。


  現代医学と伝統的整復の“視点の違い”

観点

整形外科

柔道整復

主な目的

炎症と損傷の管理

構造と機能の調和回復

基準

画像所見

触診・動態観察

治療内容

固定・薬・リハビリ

整復・固定・後療法(リハビリ)

価値観

「ズレがなければ治る」

「ズレを整えてこそ治る」


  まとめ 〜構造が整えば、機能は戻る〜

足関節捻挫は、単なる「靭帯の伸び」ではありません。関節面の微妙な不整合こそが、回復を遅らせる本質になることがあります。

腫れが引いても違和感が続くとき、「もしかしたら関節のズレが残っているのでは?」という視点を持つことが、再発防止にもつながります。

整形外科的治療と柔整的整復は、立場は違えど、どちらも「機能の回復」を目指している点では同じ。

私はこれからも、

“構造を整えることで、自然治癒力を最大限に引き出す”という臨床の原点を大切にしていきたいと思います。

 
 

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