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お灸の話しⅠ~馬王堆漢墓からわかること~

  • pcs9130
  • 2024年8月5日
  • 読了時間: 3分

更新日:8月26日

 1972年から1974年にかけて湖南省長沙市で紀元前2世紀の漢の時代の墳墓が発見された。※日本では古墳時代 ※湖南省は艾の特産地 後に前漢の時代長沙国の丞相(現在の県令県知事に相当)利蒼とその妻子の墓であることが判明したが、発掘時、利蒼の妻(辛追)のミイラがまだ生きているかのような保存状態であったことで有名になった。

 

 棺の中には棺の中を満たす80ℓの無色透明の液体に遺体は浸かっており、肌着2枚を含む18枚の絹や麻の経帷子(きょうかたびら)を着て、9本の帯で縛ったあと、2枚の真綿の衾(ふすま)が掛けられ、青絹の靴を履いていた。口からは舌が突き出て顔はまるで生きているかのように生気が残っているかのようだった。棺の中を満たしていた液体には辰砂(硫化水銀:水銀と硫黄の化合物)が含まれており、腐敗を防止したと思われる。また辛追のいた一号墓は小高く持った丘から深さ16mのところに位置し、その深さから湿度温度が一定に保たれ保存状態がよく保たれた。※底部の直径は30m~60m


 副葬品は、3,000点にも及び、漆器、織物、土器、竹器、木器、楽器、武器、畜産品、歴史、文学、考古学などの史料など考古学的価値の高いものが発掘されている。1号墓の帛画は中国古代絵画の最高傑作と言われている。また3号墓のから発見された帛書は戦国時代から前漢初期までの政治・軍事・思想・文化・科学の他多くの未知のテキストが見つかった。


 さて本題にもどるが、大きな疑問がある。なぜ、漢の国の一地方都市の丞相がこのような巨大で豪勢なお墓を造ることができたのかということである。この疑問に関して、まず湖南省の位置を確認してもらいたい。ここは洞庭湖という中国で2番に大きい湖の南側に位置しており、北は湖北省である。また長江という大河が湖に繫がっており、肥沃な大地を形成している。その南には南越国(現在のベトナム)があり、秦の崩壊によって漢の属国になってはいたものの、武帝の治世でしばしば帝位を称しており、長沙国はしばしば征伐に駆り出されていた。


 しかし、南越国は亜熱帯地方に属し、風土病や未知の伝染病が蔓延しており、なかなか兵を進めることができなかった。漢方薬やハリを用い、治療に当たっていたようだが、発症してからはなかなか効果が上がらず、兵はバタバタと死んでいった。そこで利蒼は長江流域や湖周辺に繁茂しているヨモギからモグサを精製し、それを日頃から兵士に常用させ、兵士の免疫力をあげて南越国に攻め入り、見事滅亡させた。


 その報を聞き、漢の武帝は大いに喜び、利蒼に莫大な褒美を取らせたようである。その莫大な褒美のおかげで巨大な墳墓を造成できたのではないか、と言われている。


 利蒼はお灸がたいそう気に入ったのか、墳墓からは大量の医学書が出土したが、「足臂十一脈灸経」や「陰陽十一脈灸経」などお灸に関する医学書が多く、鍼に関する書物は皆無だったといわれている。しかし、この当時のお灸がどうゆうお灸だったかは詳細な文献がないのでわからないが、私は多分「打膿灸」のような灸法だったのではないかと想像する。


参考文献

  •  何介鈞/編著 『馬王堆漢墓のすべて』 

     


 
 

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