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検査は現代医学で、治療は伝統医学で(前編)

  • pcs9130
  • 3月13日
  • 読了時間: 5分

更新日:3月17日

今日、医療は一般的に「西洋医学」と「東洋医学」という二つの概念で語られることが多い。しかしこの区分は必ずしも医学の本質を正確に表しているとは言い難い。なぜなら医学の本質的な違いは、地域的な起源ではなく、その成立原理や方法論の違いにあるからである。

一般に西洋医学と呼ばれる医療は、科学的手法によって人体を分析する医学であり、近代以降に発展した**科学的分析医学(modern scientific medicine)と捉えることができる。一方、東洋医学と呼ばれる医療は、長い歴史の中で経験的に形成され、人間を自然の一部として捉える自然的伝統医学(natural traditional medicine)**と理解することができる。

本稿では、このような観点から医学を再整理し、「検査は現代医学で、治療は伝統医学で」という視点を通して、これからの医療のあり方について考察する。


1 科学的分析医学(現代医学の特性)

―分析による診断能力―

現代医学の最大の特徴は、人体を科学的に分析することによって病態を解明しようとする点にある。解剖学、生理学、生化学、病理学などの基礎医学の発展により、人体は臓器、組織、細胞、さらには分子レベルまで解析されるようになった。

その成果として、

  • 血液検査

  • CT・MRIなどの画像診断

  • 病理診断

  • 遺伝子検査

といった高度な診断技術が確立され、病気の状態を客観的に把握することが可能となった。

このように現代医学の強みは、病気を可視化し客観的に評価する能力にある。感染症や外傷、外科的疾患などにおいて現代医学が圧倒的な成果を挙げてきたことは疑いない。

したがって、疾病の診断や緊急医療において現代医学が重要な役割を担うことは明らかである。


2 自然的伝統医学(伝統医学の特性)

―全体観による治療―

一方、世界各地には長い歴史の中で発展してきた多様な伝統医学が存在する。中国医学、日本漢方、インドのアーユルヴェーダ、さらにはヨーロッパのハーバル医学などがその例である。

これらの医学に共通する特徴は、人間の身体を単なる臓器の集合としてではなく、自然の一部としての有機的存在として捉える点にある。

例えば中国医学では、気血の流れや陰陽五行のバランスによって身体の状態を理解する。病気とは特定の臓器の異常のみならず、身体全体の調和が崩れた状態と考えられる。

このような医学観は、長年の臨床経験の蓄積から形成された経験医学であり、特に慢性疾患や体質改善、未病治療などの領域において大きな役割を果たしてきた。

世界各地には長い歴史の中で育まれた伝統医学が存在する。

例えば

  • 中国医学

  • 日本の漢方

  • インドのアーユルヴェーダ

  • ヨーロッパのハーバル医学

  • アラブ医学


これらの医学の共通点は、

人間を自然の一部として捉える医学という点にある。

病気を

  • 気血の乱れ

  • 体質の偏り

  • 自然との不調和

として理解し、身体全体のバランスを整えることを重視する。

この医学は、

長い経験と臨床の蓄積によって形成された経験医学である。

科学万能の時代では、古臭い、非科学的な、時代遅れの医療と蔑まれた医療である。


3 伝統医学は東洋だけのものではない

ここで注意すべきは、伝統医学は決して東洋だけに存在するものではないという点である。近代医学が成立する以前、ヨーロッパにおいても薬草療法を中心とした医学体系が存在していた。古代ギリシア医学における四体液説や、植物薬を用いたハーブ医学はその代表例である。

つまり伝統医学とは、特定の地域の医学ではなく、近代科学医学が成立する以前に世界各地で発展した人類共通の医学なのである。


4 20世紀初頭のアメリカ医療の転換

さらに歴史的に見れば、現在のような科学的医学が医療の中心になったのは比較的最近である。

20世紀初頭、アメリカでは医療制度に大きな転換が起こった。その背景には、石油資本で知られるロックフェラー財団による医学教育改革があった。

1910年に発表されたフレクスナー報告を契機に、アメリカの医学教育は

  • 科学実験を重視する医学

  • 薬理学中心の医療

  • 対処療法中心の医療

へと大きく再編された。

その結果

  • 自然療法

  • 植物療法

  • 民間療法

など多くの医療体系は医学教育から排除されていった。


つまり、現在主流となっている科学医学は、20世紀に制度的に確立された比較的新しい医学体系なのである。先の大戦で米国の占領下に置けれた日本は、医療制度も米国と同じ体制に変えられてしまった。余談だが、アジアで鍼や灸を扱う資格で医師、あるいは医師相当の権限がないのは日本くらいである。


5 医学の役割分担という考え方

このように考えると、医学は、

どちらが正しいかではなく、役割が異なる

と理解する方が合理的である。

例えば

現代医学が得意な領域

  • 検査全般

  • 救急医療

  • 外科

  • 感染症治療

伝統医学が得意な領域

  • 体質改善

  • 慢性疾患

  • 未病治療

  • 自律神経系の疾患

  • 自然治癒力の調整

つまり

「検査は現代医学で、治療は伝統医学で」

という発想は、単なる折衷ではなく

医学の特性に応じた合理的な分担

と考えることができる。こうしてみてみると、

現代医学が不得意な分野は、伝統医学が得意な分野であるし、

逆もまたしかりである。


6 これからの医療

21世紀の医療に求められているのは、

  • 科学医学の精密な診断能力

  • 伝統医学の全体的治療観

の融合である。

つまり

分析医学(Analysis)と

統合医学(Integration)

の両輪による医療である。

医学の歴史を振り返れば、人類は長い間、自然医学によって健康を守ってきた。

そして近代になって科学医学という強力な診断技術を手に入れた。

これからの医療は、

「科学で身体を見て

自然の理で健康を守る」

という新しい統合の段階に入っているのではないだろうか。

高騰する社会保険料や医療費の問題を解決するカギもそこにあるのではないだろうか。

 
 

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