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婦人科疾患の基礎知識 【前編】

  • pcs9130
  • 2025年2月13日
  • 読了時間: 6分

【月経周期】


 生理は月経とも言い、月経周期は25~38日と個人差があり、平均は28日である。

その周期で起こる体内の変化を説明する。月経開始日が月経周期の第1日目で、約3~7日(個人差あり) で月経が終わる。月経が終ってから排卵までの期間(約5~7日)を卵胞期といい、月経開始日から約2週間後に排卵が起こる。この排卵が起こる期間(約2~4日)を排卵期と言い、排卵後次の月経が始まるまでの期間を黄体期と言う。

 

卵胞期…月経が終わる頃、卵巣の中の卵胞から卵胞ホルモン“エストゲン”が分泌され、卵子の元となる卵胞が成熟。子宮内膜が厚くなり気分が安定する時期。


排卵期…エストゲンの分泌は促進され、子宮内膜がより厚くなる。そしてエストゲンの分泌量がピークに達すると、成熟した卵胞から卵子が飛び出す“排卵”が起こる。卵胞から卵子が排出され、人により腹痛が現れることがある時期。


黄体期…排卵後の卵胞は黄体に変化し、黄体ホルモン“プロゲストロン”を分泌する。

プロゲストロンにより子宮内膜はさらに厚くなり妊娠の準備が整う。

子宮内膜が厚くなり妊娠に適した状態であるが、イライラ・眠気・不眠・

怒りっぽい・腹痛(下腹部痛)や張り・吐き気・憂うつ・乳房痛など

PMS※1やPMDD※2などの症状がみられ不安定な時期。


月経…妊娠が成立しなかった場合、エストゲン、プロゲストロンの分泌が減少し、子宮内膜が剥がれ、血液と共に排出される。個人差はあるが、腹痛(生理痛)・下痢・イライラ・抑うつ・頭痛・吐き気・腰痛などの症状がみられる時期。

  月経から次の月経までの間には、このような一連のホルモン変動をはじめとした周期的な変化がおこる。

 

【現代女性の月経】


 現代の女性は結婚や妊娠を希望されないケースも多いため、月経困難症や子宮関連の病気を持っていると、治療法として月経を止めることを選択するケースも多い。

妊娠すると、産後1年からそれ以上の期間月経は止まる。よって妊娠出産の回数が多かった昔の女性は、生涯月経回数は50回程度だったと言われている。

 現代の女性は少子化により妊娠、授乳の回数が減り、月経回数が多くなったことや

食習慣の変化から、月経困難症や子宮内膜症などの病気が増加したと考えられている。現在の女性の生涯月経回数は450回位と言われている。

<正常な月経の目安>   ≪日本産婦人科学会用語解説集から作成≫

初経年齢

平均12歳

月経周期日数

25~38日

出血持続日数

3~7日間(平均5日間)

1周期の総経血量

20~140ml

閉経年齢

45~56歳(平均50.5歳)

 

【月経不順】


 月経不順とは、通常の月1回の周期をとらず、不定期になるものを指し通常の25~38日程度を超えるもの。無月経とは月経のない状態を指し、通常3ヶ月程度ないものを言う。18歳までまったく月経のないものを“原発性無月経”といい器質的異常や染色体異常が考えられるので精査が必要である。ただし3~4ヶ月に1回の月経でも年に数回排卵が自然にあれば問題にはならない。


◎体重減少性無月経

 標準体重を20%以上割り込む急激なダイエットをすることにより、体重減少から低栄養状態が続くと卵巣機能、下垂体機能が低下する。体作りの基礎となる思春期において、過度なダイエットを行うことで、将来の妊孕性への影響のみならず、骨量の低下も招くので十分注意が必要である。因みに骨量は10~20代始めにピークとなりその後は減少していくのである。


◎思春期の月経不順・無月経

 “神経性無食欲症”は思春期に起こりやすい月経異常の原因である。これは前述の“体重減少性無月経”とは異なり、正常体重を維持することを拒否する精神疾患の1つであり、より深刻である。過度に体型を気にするあまり高度なやせ、栄養不良から無月経状態で学校生活をおくっている女性も少なくない。家庭や教育現場で早期に気づき対応することが重要である。


◎成人女性の月経不順・無月経

 思春期を過ぎた20代以降、出産希望のない場合、あるいは苦痛のない月経不順で基礎疾患がない場合などは、経過観察で構わない。しかし苦痛や不安がある場合は薬物療法の適応となる。原因としてはストレスが最も考えられる。


◎産後の月経不順・無月経

 出産後の月経不順も見落とされがちである。妊娠中はホルモン漬けと言われる状態で、エストゲン、プロゲステロンとも大量に分泌され妊娠が維持される。しかし出産によって大きな変化が起こる。分娩期にはオキシトシンやプロスタグランディンが分泌されて子宮収縮を起こし、産後は授乳の為オキシトシンやプロラクチンが分泌されるというダイナミックな変化が起こる。そのためホルモンバランスが崩れると精神的にもバランスを崩しやすく、マタニティブルーや産後うつと言う状態になりやすい。

 授乳をやめることで月経は再開する。産後の月経再開は約半年であるが、産後2か月の場合もあれば2年間無月経ということもあり、個人差が大きい。


◎ピル(低用量経口避妊薬)について

 1999年9月から国内でも処方できるようになったピルも月経不順の治療薬として適している。海外では以前から月経不順や月経困難症の治療薬として広く使われていた。月経不順は、本来自然に起こるべき現象が生体ホルモンの乱れによって障害されると捉えれば、ピルはむしろそれを整える作用があると言える。

 

【月経困難症】


 月経困難症とは、月経時に痛みを伴う状態の総称で、この中にはいろいろな疾患が含まれる。器質的異常がない場合、いわゆる子宮が未熟で起こる子宮発育不全、子宮過度収縮、子宮血管過度攣縮などの機能不全や心理的背景が強いものなどがある。特に思春期女性の98%は機能性疾患であり排卵周期が関係している。また遺伝的要素や環境的要素の両面も無視できない。

 器質的異常を伴うものでよく見られるのは、若い女性では“子宮内膜症”30代からは子宮筋腫である。症状に応じてホルモン療法を行うが、子宮筋腫で過多月経や月経困難症の強い場合は手術も考慮する。

 

◎子宮内膜症

 子宮内膜症は、本来子宮内腔に存在する子宮内膜が子宮内膜以外の部位に存在し機能する病態で、多くは骨盤腔内に見られる。近年出産の高齢化や環境、食事の変化に伴って子宮内膜症が増加している。受診者の平均年齢は31.1歳だが低年齢化している。またこの疾患の70%以上に月経困難症の症状がみられるため、月経痛と言えば子宮内膜症を疑うというほど密接に関係している。


◎子宮筋腫

 子宮筋腫は、30代後半の女性の3人に1人は持っていると言われる婦人科疾患の代表的な病気である。子宮の筋層内に筋腫細胞からなる固いこぶができる状態で、もとにある筋腫細胞がエストゲンの影響を受けて性成熟期に成長する。筋腫はできる位置によって子宮の外に飛び出たような漿膜下筋腫、筋層内筋腫、子宮内膜を圧迫する粘膜下筋腫に分けられ、大きさが同じでも症状が異なる。だんだん強くなる月経痛は1つの症状で、同時に過多月経となることが多い。めまいや息切れなど鉄欠乏貧血の酷さで気づくことも多く、月経痛の頻度は子宮内膜症よりは少ない。

 

【後編へ続く】

 
 

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