河童のほねつぎ
- pcs9130
- 2025年7月26日
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更新日:2025年8月26日

昔むかし、あるところにたいそう働き者の馬方がいたそうだ。朝の暗いうちから、馬の背中に荷を付けて、遠くの村まで稼ぎに出かけて行ったと。
ある時、仕事を終えた馬方が、馬を連れて川へ行き、馬の体を洗ったり、水を飲ませたりして、自分も一服していると、突然、馬が暴れ出して、ヒヒーンといなくなると、パカパカと駆け出してしまったと。馬方はびっくりして後を追いかけたが、とても追いつけずに、「まあいいや。一足先に家に帰ったんだんべ」とテクテク帰ったと。
馬方が家に戻って馬屋を覗いてみると、やっぱり馬は先に着いていたので「おめえは急に暴れ出して、たまげるじゃねえか」と言った。
馬方は不思議に思ったが馬も落ち着いていたので、一安心した。ところが夜になって馬方が夕食を食べていると、表で子供の泣き声がした。馬方が外に出ると小雨の降る中で男の子がシクシク泣いているんだと。
「どうしたんだ。見かけねえ子だが、どこから来たんだ」。馬方が声を掛けると、男の子は泣きながら「俺の手を返してくれ」と言うんだと。「手を返せって、いったいどうしたんだ」馬方は不思議に思った。「実は俺は河童なんだ。昼間川で遊んでいたら、馬が水飲みに来たんで、川に引きずり込むべえと思い、馬のしっぽをつかんだら、俺の手を絡めたまま駆け出してきちゃたんだ。勘弁してくれ」。
馬方は驚いたと。子供の顔を明りの下でよく見たら、人間の格好はしているが、顔は河童だった。「手を返してくれ、手を返してくれ」と河童が泣くので、馬屋に行ってみると、なるほど馬のしっぽに河童の手が絡みついていたんだと。馬方は河童の手を馬から離してやると、「この手は返してやるけど、どうやって付けるのか教えてくれ」と訊いた。すると河童は自分の手をクルリと肩にはめ込んで見せたと。そうして、馬方にも、「いま、俺がやったようにすれば、人間のほねつぎもできるよ」と教えていったんだと。
それから馬方は河童の言った通りに骨が折れた人を治してやるようになったので、たちまち評判になり、馬方のほねつぎはうんと栄えて、代々ほねつぎになったそうだ。
※薮塚本町の話しです。家伝薬として類話も多く、六合村の湯本家には命宝散という薬が伝えられ、漢方医として実在したそうです。
出典:群馬の民話14
※当院のロゴマークが河童になっている由縁です。
